モネの池と映画トラブルに見る、契約と信頼のあり方


岐阜県関市にある名もなき池(通称「モネの池」)を訪れました。睡蓮が咲き、鯉が優雅に泳ぐ姿は、まさに印象派の絵画を彷彿とさせる幻想的な風景でした。写真で見る以上に、実際の景色は静かで美しく、まさに「奇跡の池」とも言える場所です。

しかしこのモネの池をめぐって、現在、関市と映画制作会社との間でトラブルが起きています。

観光PR映画と補助金のトラブル

関市は、モネの池を題材とした観光PR映画『名もなき池』を制作するため、約2000万円の補助金を制作会社に交付しました。ところが、出来上がった映画は、満足できる質ではなく、上映された地域や期間も要件を満たさないことなどから、関市は補助金の返還を求めています。

市側は「契約に反している」、制作会社側は「契約要件を満たしている」と主張し、両者の言い分が食い違っています。

契約書は「もしも」のための道しるべ

このニュースは、行政手続や契約実務に関わる私たちにとっても非常に示唆に富むものです。

契約とは、「良いとき」ではなく「何かあったとき」のためにあります。特に、補助金や委託契約など公的資金が関わる場合、成果の定義や履行方法、進捗報告の義務などを、文書で明確に定めておくことが肝要です。

制作会社側は、「善意」や「努力」だけで、公金の使用を正当化することはできませんし、一方で関市側も、提示した入札参加資格要件の妥当性について疑問が残ります。

地域資源と信頼を守るために

モネの池は、地元の人々の手で大切に守られてきた場所です。こうした地域資源を全国に発信するための取り組みが、トラブルによって注目を集めることになってしまうのは非常にもったいないことです。

行政書士として、契約書の作成や補助金関連書類の確認をお手伝いする立場から、こうした事例に触れるたびに、改めて「書面による明確な約束の重要性」を実感します。


最後に

モネの池の静かな水面とは対照的に、表には見えにくいトラブルが起きています。それでも、こうした事例から学ぶことで、より良い地域づくりや事業推進ができるはずです。

補助金や契約書に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。



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