以前、岐阜県関市にある「モネの池」を題材にしたPR映画の製作をめぐり、補助金トラブルが生じていることをこのブログで取り上げました。
その後、事態はさらに進展しています。
市が刑事告訴と民事訴訟へ
関市は、制作を担当した会社が提出した補助金実績報告書に虚偽の疑いがあるとして、同社代表取締役を偽造私文書行使の疑いで関署に刑事告訴しました。
また、市は補助金の全額2,000万円の返還を求め、加算金や遅延利息を含めた支払いを求める民事訴訟にも踏み切る方針です。訴訟提起の議案は市議会に提出され、可決後に手続きに入る見込みです。
条件を満たさなかった映画公開
映画「名もなき池」には、補助金交付の条件として「複数の映画館で4週間以上上映する」などの要件が定められていました。しかし、これらは達成されなかったと市は判断。
市は交付決定を取り消し、返還期限を2025年4月25日とする督促状を送付しましたが、期日までに納付は確認されませんでした。
制作会社側の主張
一方で、制作会社側も黙ってはいません。
代理人弁護士によれば、会計処理に不適切な部分があったことは認め、一部返還の意向を示していたものの、市からは「6月末までに一括返還するよう求められた」とのこと。
同社は「市が示した通り、5年間で返還する用意がある」としており、関市の対応に「非常に遺憾」との見解を示しています。
美しい池と、複雑な現実
「モネの池」は、その透明度と睡蓮、錦鯉が織りなす幻想的な風景で、いまや岐阜を代表する観光スポットとなっています。
しかし、その名を冠した映画をめぐり、観光PRどころか法廷闘争へと発展してしまったことは残念と言わざるを得ません。
公的資金が関わる事業においては、契約や条件をいかに明確にし、誠実に履行するかが改めて問われています。
「モネの池」の美しい景観にふさわしいかたちで、地域の魅力を正しく発信できる仕組みづくりが望まれます。