2025年8月6日、総務省が「住民基本台帳」に基づく人口動態調査(2025年1月1日現在)を公表しました。今年の結果は、少子高齢化と都市集中、外国人住民の増加という、現代日本が直面する人口構造の変化を如実に映し出しています。
■ 日本人の人口は過去最大の減少幅に
日本人の人口は 1億2065万3227人、前年より 90万8574人(0.75%)減少 し、調査開始以来、最大の減少数・減少率となりました。人口減は16年連続です。
- 出生数:68万7689人(初の70万人割れ)
- 死亡数:159万9850人(過去最多)
- 自然減:91万2161人(過去最大)
今後の年金・医療・介護といった社会保障への影響はもちろん、相続や後見制度の利用など高齢者支援業務への需要も、今後さらに高まっていくことが予想されます。
■ 外国人住民が急増、制度支援の重要性も増加
外国人の住民は 367万7463人 に増加(前年比 +10.65%)、過去最多を更新しました。新型コロナの収束とともに、再び外国人の来日・定住が加速している様子がうかがえます。
- 全都道府県で外国人増加
- 増加数トップ:東京都(+7万3807人)
- 増加率トップ:北海道(+19.57%)
この傾向は、在留資格の手続き、就労支援、永住申請や帰化など、行政書士が関わる外国人関連業務の必要性を今後ますます高めていくと考えられます。多文化共生の地域づくりに法務面での支援が求められる場面も増えていくでしょう。
■ 都市集中の進行と地方の危機
3大都市圏(東京・名古屋・関西)の人口比率は 53.09% と、過去最高を更新。
東京都や千葉県では人口増が見られる一方で、秋田・青森・高知などでは1.5%以上の大幅な減少が発生しています。
- 東京都:+9万632人
- 秋田県:‑1.84%減(全国最大)
地方の過疎化が進む一方で、都市への一極集中により、都市部での住居・労働・教育といった生活環境に関する行政手続きや契約関係の複雑化も進行しています。
■ 家族の形も変化
- 世帯数:6128万7994世帯(前年比 +0.84%)
- 平均世帯人数:2.03人(前年より0.02人減)
単身高齢者やおひとりさま世帯の増加により、遺言書作成・任意後見契約・死後事務委任など、法的サポートのニーズも拡大しています。
■ 年齢構成の変化が示す未来
- 65歳以上:3569万2697人(29.58%)
- 15〜64歳(生産年齢人口):7123万5169人(59.04%)
- 14歳以下:1372万5356人(11.38%)
特に14歳以下の人口は、31年連続で減少。地域の教育・福祉インフラの維持や、若年層の定着に向けた政策が求められます。
■ おわりに:変化を受け入れ、支える仕事へ
2025年の人口動態調査は、日本の人口構造が大きな転換点にあることを明確に示しました。
少子高齢化、外国人の定住増、都市部への集中と地方の空洞化――これらはすべて、地域社会や個人の生活に直接関わる課題です。
当事務所でも、相続・後見制度に関するご相談や、在留資格申請、外国人支援に関する業務などを通じて、この社会の変化に伴うニーズに対応しています。
これからの日本社会に求められるのは、法制度を柔軟に活用し、人と人とのつながりを支える仕組みです。私たち行政書士もまた、そうした“橋渡し役”として、地域とともに歩んでまいります。